ERPでは管理できない「計画業務」をDX推進する方法dbSheet × CData Connect AI

2026.08.29 5:50 PM

Excelの柔軟性を活かしながら計画データを一元化し、AIによる原因探索、需要予測、シナリオ分析につなげる仕組みをご紹介

ERPの導入によって、受注、売上、在庫、生産、会計といった基幹業務のデータを一元管理できるようになった企業は少なくありません。

しかし、ERPを導入した後も、販売計画や生産計画、予算策定、需要予測といった業務は、Excelで行われているケースが多くあります。

なぜなら、ERPが得意とするのは、すでに発生・確定した取引や実績の管理だからです。一方、計画業務では、まだ確定していない数字を扱い、状況に応じて何度も見直す必要があります。

「来月、どの商品がどれくらい売れるのか」

「販売計画に対して、どれだけ生産すべきか」

「売上が計画を下回った原因は何か」

「原材料価格や需要が変化した場合、利益はどうなるのか」

こうした正解が決まっていない業務を、ERPの固定された画面や処理だけで管理することは簡単ではありません。

そこで本記事では、ERPの周辺に残る計画業務を、dbSheetとCData Connect AI、そしてAIを組み合わせてDXする方法をご紹介します。

ERPは「過去と現在」を管理し、計画業務は「未来」を管理する

ERPには、業務プロセスを標準化し、正確な実績データを蓄積するという重要な役割があります。

しかし、販売計画や生産計画では、担当者が市場動向、顧客情報、季節性、営業案件、設備状況などを考慮しながら、仮説を立てて数字を調整します。

計画の前提条件も頻繁に変わります。

  • 営業担当者から大型案件の見込みが追加された

  • 主要顧客から発注延期の連絡があった

  • 原材料の納期が延びた

  • 販売促進キャンペーンの実施が決まった

  • 設備停止によって生産能力が低下した

このような変化に対応するには、ERPのような「確定データを正しく処理する仕組み」だけでなく、担当者が柔軟に数字を検討し、複数のシナリオを比較できる仕組みが必要です。

そのため、計画業務では現在もExcelが広く使われています。

Excelによる計画業務が抱える課題

Excelは、計算式や表のレイアウトを自由に変更できるため、計画業務との相性がよいツールです。

一方で、業務を個別のExcelファイルだけで管理していると、次のような問題が発生します。

  • 部門や担当者ごとにファイルが分散する

  • どのファイルが最新版なのか分からない

  • 数式やマクロが属人化する

  • 計画を変更した理由が残らない

  • ERPの実績を手作業で転記している

  • 販売計画と生産計画の連携に時間がかかる

  • 過去の計画値と実績値を比較しにくい

  • データが表形式のファイルに閉じており、AIで継続的に活用できない

計画業務をDXするためには、Excelを単純に廃止するのではなく、Excelの使いやすさを残しながら、データを共有・蓄積できる状態に変えることが重要です。

dbSheetで計画業務を「データ化」する

dbSheetは、現場で使われてきたExcelの画面、関数、数式、グラフなどを活かしながら、Excel業務をデータベースと接続できる業務プラットフォームです。

担当者は使い慣れたExcel形式の画面で計画を入力できます。その裏側では、販売見込み、計画数量、調整理由、更新者、更新日時などをデータベースで一元管理します。

これにより、Excelの柔軟性を維持しながら、次のような計画業務基盤を構築できます。

  • 部門をまたいだ計画データの共有

  • 販売計画、在庫計画、生産計画の連携

  • 計画値とERP実績の比較

  • 更新履歴や操作ログの管理

  • ユーザーや部門ごとのアクセス制御

  • Excel、Access、Web画面を使った入力

  • 計画変更理由や担当者コメントの蓄積

dbSheetは、Excelをなくすための仕組みではありません。Excelに蓄積されている現場のノウハウを、組織で共有できる構造化データへ変えるための仕組みです。

dbSheetの公式サイトでも、ERPでは対応しにくい予算策定、PSI、生産計画、見込管理などの「確定前の意思決定業務」が対象として挙げられています。dbSheet公式サイト

CData Connect AIで、ERPやSaaSのデータをAIにつなぐ

AIに計画を分析させるためには、dbSheetに入力された計画値だけでなく、ERPの販売実績、受注残、在庫、仕入、生産実績なども参照できるようにする必要があります。

さらに、CRMの商談情報、ECサイトの販売データ、広告実績、市場データなど、社内外に分散したデータも予測精度を左右します。

CData Connect AIは、ERP、SaaS、データベース、DWHなどに分散しているデータをAIから利用するためのデータ接続基盤です。CDataの公式情報では、SAP、Dynamics 365、NetSuite、Salesforce、kintone、各種データベースなど、多様なデータソースへの接続が案内されています。CData Connect AIコネクタ一覧

CData Connect AIを介することで、データを個別にコピーしてAIへ渡すのではなく、権限管理された接続を通じて、AIが必要な業務データを参照できる環境を整備できます。

全体像は、次のようになります。

ERP・CRM・SaaS・各種データベース
  ↓
CData Connect AIによるデータ接続
  ↓
AIによる原因候補の探索・予測・シナリオ分析
  ↓
dbSheetによる計画の確認・調整・承認・共有
  ↓
確定した計画を生産、調達、販売活動へ反映

つまり、CData Connect AIが「AIと企業データをつなぐ役割」を担い、dbSheetが「AIの分析結果を人が確認し、実際の計画業務として運用する役割」を担います。

AIで行う「原因探索」

計画と実績に差異が発生したとき、担当者は商品別、顧客別、地域別、営業担当別など、さまざまな切り口で原因を調査します。

しかし、データ量が多くなるほど、担当者がすべての組み合わせを確認することは困難です。

AIを活用すると、例えば次のような分析を支援できます。

  • 売上未達への影響が大きい商品や顧客の抽出

  • 前年同期や直近傾向から外れた異常値の検出

  • 値引率、欠品、納期遅延と売上変動の関係分析

  • 地域、チャネル、商品構成による差異の分解

  • 計画変更履歴や担当者コメントを含めた要因整理

  • 在庫不足や生産遅延が販売機会に与えた影響の推定

例えば、売上が計画を10%下回った場合、AIに次のように質問できます。

「売上未達への影響が大きい商品、顧客、地域を特定し、受注、在庫、納期、値引率との関係から原因候補を示してください」

AIは複数のデータを横断し、「特定商品の欠品」「主要顧客の発注延期」「新規案件の失注」など、確認すべき原因候補を優先順位付きで提示します。

ただし、AIが示すものは、基本的にはデータ上の関係から導いた“原因候補”です。因果関係を自動的に断定させるのではなく、現場担当者が業務知識や顧客情報と照らし合わせて検証することが重要です。

AIで行う「未来予測」

構造化された計画データとERPの実績データを組み合わせることで、AIによる販売予測や生産計画の支援も可能になります。

販売計画の場合

販売実績、受注残、商談確度、季節性、価格改定、キャンペーン情報などを分析し、商品別・顧客別・期間別の需要を予測します。

AIには、単一の予測値だけでなく、次のような複数シナリオを作成させます。

  • 標準シナリオ

  • 大型案件を受注した場合の上振れシナリオ

  • 市況が悪化した場合の下振れシナリオ

  • 値上げを実施した場合のシナリオ

  • 販売促進を強化した場合のシナリオ

担当者は、AIが提示した予測をdbSheet上で確認し、顧客との商談状況や現場の判断を加えて、最終的な販売計画を作成します。

生産計画の場合

販売予測に加えて、現在庫、受注残、仕掛品、調達リードタイム、生産能力、安全在庫などを分析します。

そのうえで、AIが次のような情報を提示します。

  • 商品別の推奨生産数量

  • 将来の欠品リスク

  • 過剰在庫となる可能性

  • 設備や工程の負荷集中

  • 原材料の不足予測

  • 生産時期を変更した場合の影響

AIの予測結果をそのまま自動確定するのではなく、dbSheet上で生産管理担当者が調整し、承認された計画だけを正式な業務データとして扱います。

AIと人の役割を分ける

計画業務にAIを導入する際、「すべての計画をAIに任せる」ことから始める必要はありません。

AIが得意なのは、大量のデータから傾向や異常を見つけ、複数の選択肢を提示することです。一方、顧客との関係、経営方針、現場の制約など、数値だけでは判断できない要素もあります。

そのため、実務では次のような役割分担が適しています。

AIが行うこと:

  • データの集計と比較

  • 異常値の検出

  • 原因候補の絞り込み

  • 需要や売上の予測

  • 複数シナリオの作成

  • リスクの早期検知

人が行うこと:

  • AIが示した原因候補の検証

  • 顧客事情や現場情報の反映

  • 予測値の調整

  • リスク許容度の判断

  • 計画の承認と最終決定

AIを「計画を決める存在」ではなく、「意思決定を支援するパートナー」として位置づけることが、現実的な導入方法です。

小さく始めて、予測と実績を学習資産にする

計画業務のDXは、すべての部門を一度に変える必要はありません。

まずは、特定の商品群や一つの部門を対象に、次の順序で始めることができます。

  1. 現在使用している計画ExcelをdbSheetでデータベース化する

  2. ERPの実績データと計画データを自動的に比較できるようにする

  3. CData Connect AIを通じて、AIが必要なデータを参照できるようにする

  4. AIによる差異分析や原因候補の提示から始める

  5. 十分な実績が蓄積された段階で、販売予測や生産計画へ広げる

特に重要なのは、「誰が、いつ、どのような根拠で計画を変更したか」をデータとして残すことです。

予測値、担当者による修正値、修正理由、最終実績を継続して蓄積すれば、「AIの予測が外れた理由」や「担当者の判断が有効だった条件」も分析できます。

計画業務そのものが、次の計画精度を高める学習資産になります。

まとめ:ERPを置き換えるのではなく、ERPの外側にある意思決定を強くする

ERPは、確定した取引や実績を正確に管理するために欠かせません。

一方、販売計画や生産計画、予算策定などの業務では、変化する前提条件を扱いながら、未来について意思決定する必要があります。

この領域では、ERPだけですべてを管理しようとするのではなく、それぞれの仕組みの役割を分けることが重要です。

  • ERPで確定実績を管理する

  • dbSheetで現場の計画と判断をデータ化する

  • CData Connect AIで社内外のデータとAIをつなぐ

  • AIで原因候補、予測、シナリオを提示する

  • 人が内容を検証し、最終的な計画を決定する

ERPに蓄積された「過去と現在」のデータと、現場が持つ「未来の見込み」をつなぐ。

そのうえでAIを活用し、経験や勘だけに依存していた計画業務を、データに基づく意思決定へ変えていく。

dbSheetとCData Connect AIの組み合わせは、ERPの外側に残されてきた計画業務をDXし、企業が未来をマネジメントするための新しい選択肢となります。