生産実行管理システムと現場データのAI化
多くの工場では、MES(生産実行管理システム)の導入後、多くの現場で現場業務をExcelが担っています。問題は、MESに問題があるわけではなく、現場データがデータベース化されていないこと。dbSheetは、現場のExcelを構造化し、経営に生かせるAXを推進!
製造業DXとMESに関する当社の見解
Excelは敗因ではない
生産計画・工程管理・品質記録はExcelでしか回らない合理性がある。排除ではなくデータの構造化が答え。
MESは一括導入しない
標準パッケージは型が固く、変種変量の現場と合わない。機能単位で段階的に立ち上げる。
MESが経営に効く
ERPは結果、MESは過程を持つ。過程データが揃って初めて「なぜ」に答えられる。AIの回答の根拠となる。
紙が最も楽で柔軟という文化
検査記録は手書き、保管は数十年分。現場にとって紙は今でも最速の入力手段である。
現場で定着しないシステム
操作性が現場に合わないシステムは、導入後に二重入力を生み、結局Excelに戻る。
仕様が定型化できない
工程管理も検査項目も、試行錯誤の中で増え続ける。固定仕様のシステムでは追随できない。
分断されたまま肥大化
部署ごとに同じ作業標準を別Excelで保管。データは分断・重複し、集計は手作業のまま残る。
MES(生産実行システム)の業務
生産計画
受注・在庫・設備能力・人員・材料・需要予測を睨みながら試算と調整を繰り返す。
工程管理(日程管理)
項目が増え続け定型化しにくい。横長の長大なExcel工程表を全部署が共有する。
品質管理・検査記録
受入検査・工程検査・最終検査。検査項目が多様でフォーマットが頻繁に変わる。
日報・生産実績
実工数・生産数・不良数・不良要因の集計。複雑な式とマクロで属人化しやすい。
製造指示書・作業標準
設計/生産準備/生産技術/製造が、同じ作業標準を部署ごとに別Excelで保管。
変動要素が多く、何度も試算と調整を繰り返す業務である
担当者の判断や現場の創意工夫を、その場で反映する必要がある
長年蓄積された複雑な計算ロジックが、そのまま業務ノウハウになっている
ローコード/一般的なWebシステムでは、この再現に開発コストと運用負荷がかかる
つまりExcelが残っているのは怠慢ではなく、合理的な選択の結果である
論点は「Excelをやめるか」ではなく「Excelを構造化できるか」
一括導入が難しい4つの理由
型に収まらない
標準MESは想定する製造モデルが決まっている。多品種少量・変種変量の現場は型に収まらない。
投資と導入期間が負担増
全機能を一括で入れる前提のため、投資判断が経営マターとなり着手が遅れる。
仕様凍結が現場と合わない
稼働時点の仕様で固まる一方、現場は改善で毎月変わる。差分はまたExcelで埋められる。
結果、隙間が残る
MESを導入しても工程表・検査記録・日報はExcelに残り、二重管理が生まれる。
標準MESの前提と現場の実態
| 標準MESが想定する工場 | 日本の製造現場の実態 | |
|---|---|---|
| 生産モデル | 品目と工程が安定し、繰り返し生産が中心 → 仕様を固定できるので一括導入が成立する | 多品種少量・変種変量、特急割込みが日常 → 変更に追随できる仕組みでなければ定着しない |
| 作業標準 | 本社が定め、現場は従う | 現場の改善で作業標準・検査項目も増え続ける |
※ 当社の導入支援経験にもとづく見解
階層で見たdbSheetの位置
実績(結果)
ERP
受注・仕入・請求・在庫・原価。確定した数値を持つ。クリーンコアを維持したい層。
計画に基づく実行と過程
MES = dbSheet
生産計画・工程管理・検査記録・日報・実績・作業標準・指示書。Excel資産をそのままDBに統合。
一次データ
現場・設備
Bluetooth計測器からの自動入力。IoT稼働データ・画像・図面。現場PCからの直接入力。
ERPをカスタマイズせず、MES層をdbSheetで構築する。
クリーンコア戦略を守りながら、現場固有の業務を吸収できる。
一括導入と、段階的MES化
どちらが正しいかではなく、どちらが自社の現場に合うか。
| 観点 | 標準MESパッケージ | dbSheetによる段階的MES化 |
|---|---|---|
| 導入単位 | 全機能を一括で導入、投資判断が重くなる | 効く業務から1つずつ、小さく試して段階展開 |
| 現場UI | 専用画面(習熟が必要) | 既存Excelをそのまま入力画面に |
| 仕様変更 | ベンダー依頼・追加費用 | 現場主導で内製改修できる |
| 既存資産 | 作り直しが前提 | 関数・マクロ・様式を活かす |
| ERPとの関係 | 機能重複が起きやすい | クリーンコアを保ち周辺を補完 |
| 適する現場 | 品目・工程が安定した量産 | 多品種少量・改善が続く現場 |
先に立ち上げるべき機能
MESの全機能ではなく、Excelで既に回っている領域から着手する。
データ収集
日報・生産実績・不良要因。計測器やIoT稼働データとの連携も含む。
品質管理
受入・工程・最終検査の記録。検査項目の追加変更に追随できる。
文書管理
作業標準・製造指示書を一元管理し、部署ごとの亜種を無くす。
詳細スケジューリング
長大なExcel工程表を、全部署がリアルタイム共有できるDBへ。
製品追跡
ロット単位の実績・検査結果を紐付け、トレーサビリティを確保。
実績分析
計画と実績の差異を集計し、改善サイクルの入力にする。
MESが経営分析が有効な理由
ERPは「結果」しか持たない。MESは「過程」を持つ。
ERPが答えられるのは「どの品番で不良が出たか」まで
MES層があれば「どの設備・どの班・どのロット・どの条件か」に届く
不良要因・工程滞留・計画変更理由が、分析可能なデータとして残る
AIによる要因の分解と探索が、この解像度で初めて成立する
現場改善と経営判断が、同じデータの上で議論できるようになる
MESは「AIの分析対象」ではなく
「AIが機能するインフラそのもの」
ERPだけを繋いだAIが要因分析の途中で止まるのは、過程データがMES層にしかないため。
1. MESデータが特別な理由
ERPは「結果」(数量・金額・確定実績/品番×期間×拠点)、MESは「過程」(誰が・どの設備で・どの条件で/ロット×工程×設備×班×時刻)。
4M(Man/Machine/Material/Method)が揃うのはMES層だけで、寄与度分解の軸そのものがここにある。
2. AIが効く5用途(効果順)
要因分解の高速化(★最大)
設備×班×材料ロット×時間帯を総当たり探索。計算はDB、軸の列挙とクエリ生成がAI。
非構造データの構造化
日報備考・不良所見・作業者コメントを原因区分/部位/現象に分類コード化。LLMの本領。
作業標準・指示書の検索と整合チェック
版差分、指示書と検査基準の矛盾検出。
検査記録の異常検知・予兆
統計手法が主役、AIは解釈と説明。
生産計画の立案支援
代替案の列挙と制約変更時の影響説明に限定。
「Excelをそのままに、全社データをつなぐ。」
株式会社オチアイ様
導入前の状況
検査記録が手書きの紙管理。30年分の保管によるスペースと管理負担。現場に定着するシステムが必須だった。
取り組み内容
Excelをそのまま入力画面として活用し、現場PCから直接入力。Bluetooth計測器で自動入力、画像・図面データも連携。
導入効果
紙の保管が不要になりDB化を実現。過去データの即時参照と自動集計、日報・基幹システム連携の自動化で集計作業を削減。
製造業における導入事例
生産計画・工程管理・品質管理の各領域で稼働中。
「MESを導入する」ではなく、
「いちばん重いExcelを1つ、構造化する」から始める。
Excelを棚卸しする
5領域のうち、どれが最も工数と属人化を生んでいるか。
プロトタイプを作る
既存Excelを使い、動くイメージを短期間で確認する。
1業務で稼働させる
小さく試し、現場の意見を反映しながら段階的に改善。
MES層として広げる
隣接工程へ横展開し、ERP・計測器と連携させる。
